シアトル生活はじめました

20年以上すんだ東海岸から西海岸に引っ越してきました。MicrosoftのUniversal Storeで働いてます。

スマートホームを分かりやすく解説するよ!(初心者向け)

はじめに

在米なんでアメリカの事情になります。このブログ記事内容は「生活圏がアメリカ」前提です。あしからず。 日本のスマートホーム事情は欧米に比べると遅れているらしい・・・けどこれから盛り上がってくる雰囲気もあるらしい。

この記事とほぼ同時進行で「スマートホームを詳しく解説するよ!(ギーク向け)」というタイトルの記事も書います。こっちの内容と合わせて読んだらもっと理解できるかも。

スマートホームっていったい何?

家の中にある「電気を利用している機器」を挙げてみてって言われたらまず思い浮かぶものと言えば:

  • テレビ
  • 冷蔵後
  • エアコン
  • 電子レンジ
  • パソコン
  • スマフォ
  • コーヒーメーカー
  • 加湿器

そんな感じでしょうか? 冷蔵庫に代表される、「白物家電」はどのお宅にもあります。それから、スマフォやPCなんかの「情報デバイス」は家族ひとりに1台の時代で、ひとつも無いという家庭は珍しいでしょう。

・・・でもよく考えるとまだ他にもあります。

  • 部屋の照明
  • ピンポン(呼び鈴)
  • ライトスタンド
  • ゲームコンソール(PS4とか)
  • ブルートゥース・スピーカー
  • 赤ちゃんモニター
  • ガレージのドア

照明は当たり前すぎて思いつかなかった!ってなりますよね。天井に着いている照明器具は、家の一部ですから。でもそれ以外にも卓上ランプなんかもあります。また、ゲームやスピーカー、それに赤ちゃんモニターなどがあるかないかは家庭や状況によって異なります。

こうやって見ると「電気を利用している機器」は思っているよりたくさんありますね。スマートホームとは、これらの「電気を利用している機器」を「簡単・便利に操作できるようにしている家」という風に解釈していいと思います。

ところで、家の中には電気を利用していないけどよく使うものがあります。例えば:

  • ドアのカギ
  • カーテンやブラインド
  • 水道の栓(芝生に水やりするホースが繋いである)

これらの設備は今までは電源をつなげるという発想はなかったけど、例えば電動式にドアのカギの開け閉めをしたり、自動的にブラインドを開けたりするようにしている家もあります。むしろスマートホームにするために、それらの設備をスマートホーム対応のものと交換する、という家も増えてきているようです。

では次に「簡単・便利に操作できる」という点についてみていきます。

何をもって「簡単・便利」と言えるのか?

簡単に、そして便利だと感じるように、家中にある機器を操作できるようにするわけですが、そうなるためにはいくつかの条件があると思います。以下のどれか、もしくは全てが可能になればその「電気を利用している機器」はより簡単に操作できると言えるでしょう。

  • ネットワークにつなげて、離れた場所から操作できる(出先からエアコンを点ける)
  • 機器を無線ネットワークで繋げる(有線でつなげるより楽)
  • 操作するタイミングをスケジュール出来る(照明を夜間だけ点灯する等)
  • 他のいくつかの機器と同時に操作できる(例:1階の照明を全て点ける・消す)
  • 同じように操作できる(機器ごとにことなるアプリなどを使わなくて良い)
  • 音声で操作できる

このように「簡単・便利」は程度の問題なので、こうなったらスマートホームで、そうじゃなきゃスマートホームじゃない、というように言い方はできません。それよりも、そこに住む人が便利だと感じるなら、それはスマートホームだと言えます。

ネットワークへの繋ぎ方

スマートホームとしての最も重要な条件が「操作したい機器がネットワークに繋がっていること」です。ネットワークに繋がっていなければ何も出来ません。昔通りにその機器の目の前まで歩いていって、操作パネルのボタンを押すしか方法がありません。

では、どのようなネットワークに繋げるのが良いか、見ていきましょう。

WiFi ネットワーク

まずはどの家庭にもあるWiFiネットワーク。WiFiネットワークだけで、家をスマートホームにすることは可能だけど限界があります。後述するように、スマートホームを目的にした専用ネットワークを使うとスマートホーム対応機器の数がぐんと増え、結果としてより多くの(またはお望みの)スマートホーム機器を設置することが出来るようになります。

専用ネットワークを加える前に、とりあえずWiFiネット-ワークだけで出来るだけやってみたいと思うのであれば、WiFiに直接接続できる照明用の電球などが売ってます。それで「部屋の照明」を、限定的ですが、スマートホーム化することは可能です。また、セキュリティカメラなどはその取り扱うデータの量から、WiFiのみ対応のものが多いようです。

Bluetoothを使う

これはネットワークというより、スマートホーム機器がBluetoothで通信する場合です。例えばKevoというスマートロックは表玄関の施錠をスマフォなどで操作できますが、その際の通信方式はBluetoothです。Bluetoothはゲーム機のコントローラーやスピーカーなどでおなじみですが、電波の届く距離が短いのでドアの傍に立たないといけません(ここでは書きませんが、WiFi経由で遠隔操作するセットアップはあります)。Bluetoothスマートホームを作るための通信方式としては不向きなのです。

スマートホーム専用のネットワークを使う

様々な電子機器をネットワークに繋げる方法としてもっとも有名な仕組みとして、Z-WaveとZigbeeというのがあります。どちらも利点・欠点があって、どちらかが片方より優れていると言い切るのは難しいです。とりあえずは二つの規格があって、スマートホーム対応の機器は大抵そのどちらかに対応していると考えていいでしょう。スマートホーム機器を使うことが出来るネットワークは、WiFiも含めると3つということになります。

これら2つのスマートホーム向けのネットワーク(WiFiは含まない)についていくつか重要な特徴があります。

まず、スマートホーム機器同士が通信することで、ネットワーク全体の距離・範囲を広げることが出来る。これは非常に重要で、WiFiの弱点である「電波の届かないエリア」を失くすか、少なくしてくれます。

次に、スマートホーム機器はWiFiとは直接は通信できない。Z-WaveとZigbee間はもちろんのこと、Z-WaveとWiFi、およびZigbeeWiFiの間で直接通信することは出来ません。そのために、通訳の役割を果たしてくれる機器をWiFiネットワークに追加で加える必要があります。

最後に、消費電力があります。スマートホーム機器の中には電池式のものもあります。これはZ-WaveやZigbeeで通信するのに必要な電力がWiFiなどに比べて少なくて済むからです。

最も簡単にスマートホーム専用のネットワークを構築する方法

結論から言うとSamsungのSmartThingsをひとつ買えば解決します。SmartThingsはZ-WaveとZigbeeの両方を話せるからです。WiFiネットワークへの接続は、SmartThingsそのものがWiFi対応ですが、EthernetケーブルでWiFiルーターに直接繋ぐ方が安定すると思います。SmartThingsを買ったとしてら、SmartThings用のアカウントが必要になります。

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Z-WaveとZigbeeの両方は要らない、というのであれば、例えば今現在Amazon Echo Plusをお持ちであれば、すでにZigbeeハブを持っているのと同じことです。というのもAmazon Echo PlusにはもともとZigbeeハブ機能が埋め込まれているからです。

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Amazon Echo Show の外箱

Z-Waveのハブが欲しいのであれば、検索すると$100ドル未満のハブがいくつも出来てきます。

スマートホーム機器を繋げる

繋げ方はスマートホーム機器によりますが、それほど複雑ではありません。

例えばSamsungのSmartThingsがハブとしてWiFiネットワークに接続されていて、SmartThingsのアプリがスマフォにインストールされていて、なおかつSmartThingsにSamsungのアカウントでログイン済だとします。簡単な例として、GEのスマートプラグで扇風機のON/OFFを遠隔操作したいと仮定します。SmartThingsのアプリで「デバイスを追加」を選ぶと、例えていうなら公共WiFiスポットを検出するときと同じような感じで、電波が届く範囲にあるスマートホーム機器が検出・表示されます。検出されたスマートプラグを選択し、名前を付ければ完了です。

原則、そういう感じでスマートホーム機器を加えていきます。複数のスマートホーム機器を一括して操作したい場合などは、SmartThingsなどのハブやAmazon Echoなどの「コントローラー」側で「シーン」と呼ばれるルールのようなものを設定します。

「コントローラー」という言葉が初めて出てきましたが、これは「全てのスマートホーム機器を同じように操作する」と「音声で操作する」という点で必要です。コントローラーは絶対に必要かというと、そうとも限りません。例えば、SmartThingsに繋いだものはSmartThingsのアプリで一元的に操作できます。ですが、それ以外の機器、例えばBluetooth接続したドアロックや、ここでは紹介していませんがが、Lutronという照明機器メーカーから出ている独自のLutron Casetaという別のネットワークの機器はSmartThingsでは操作できません。そこで、上位に位置するコントローラーが便利になってくるのです。

コントローラーとは

ここではAlexaを例に解説します。Alexaそのものはご存知のように、音声認識をするアプリケーションで、スマフォやAmazon純正のデバイス(EchoやFireTVなど)に搭載されています。スマートホームとは関係ないんですが、スキルという拡張を使って自宅のネットワーク上にあるスマートホーム機器を操作できるようになります。

例えば、上に例として上げたGEのスマートプラグをAlexaを使って音声で操作したい場合、まずAlexa側にGEのスマートホーム機器を扱えるようにするスキルをインストールします。次に、そのスキルを使ってGEのスマートプラグを認識させて、登録します。登録の際に名前を付けて、その名前に対して音声で操作を行えるようにするわけです。

コントローラはスマートホーム専用ネットワークが異なる機器も一括して操作が出来ます。そうすることで目的の状況(例えば全ての電気機器の電源をOFFにする)などの利用ができるようになるのです。

まとめ

スマートホームと一言でいっても、いろんなネットワーク機器や規格があります。その中でももっともポピュラーなZ-WaveとZigbeeを、WiFiネットワークなどと比べてその特徴をみてみました。スマートホーム専用のネットワークと自宅WiFiネットワークをつなげるハブを導入することで、ニーズにあったスマートホーム機器を毎日の生活に組み入れて、少しずつ便利にしていくことが出来るでしょう。