シアトル生活はじめました

20年以上すんだ東海岸から西海岸に引っ越してきました。MicrosoftのUniversal Storeで働いてます。

シアトル イカ釣り初心者ガイドブック(パート3)実践編

シアトル イカ釣り初心者ガイドブック

パート1 準備編

パート2 計画編からの続き

イカの狙い方

これは僕個人の見解なので参考程度にしていただくという前提ですが、おそらくは下図のような場所にイカがいるという理解でおおよそ間違いないと思います。

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このように、イカは暗がりで明るい所にいる餌を狙っていると思われます。ただ、実際にはイカの群れを水面近くで見ることもよくあります。おそらく群れて活発に捕食をしている時は明るいところにもよく現れるのでしょう。

経験上、明るいところと暗い所の間を狙うと釣果が上がる気がします。

桟橋からのイカ釣り

桟橋からイカを釣るときの一般的な動作は、まずアンダーキャストで沖のほうに向かって軽めに投げ、着水したらしばしの間ジグが沈降するのを待ち、そこから「しゃくりながら」桟橋の方までジグを寄せる。近くまで来てしばらくアタリがない場合は、光の真下で待ち受けているかもしれないイカを誘うために、すこしだけジグを下げて「しゃくり」を続けます。

それでもアタリが無い場合は仕掛けを回収して、次のキャストに移る、この繰り返しです。

図で表すと以下のようになるでしょう。

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ジグのキャストの仕方

ジグはそれほど遠くまでキャストする必要は無いので、アンダーキャストで「ロッドのしなり」だけを使って投げることが出来ます。ロッドを曲げるのはジグの重さです。軽いジグでもロッドを曲げることができるように、ロッドは柔らかめのミディアムかミディアムライトが投げやすいでしょう。

(最近ウルトラライトというとても柔らかいロッドを使ってみたら、感度がかなり上がりました。柔らかすぎて使いづらいと感じる人もいるようですが、オプションのひとつときて試してみるのも良いてましょう。)

着水したら最低でも6フィートぐらい(ロッドの長さ一本分ぐらい)ラインを「送って」やります。そのために、リールから自由にラインが出る状態で、わざと余分にラインを出して、そのラインが沈むのを待ちます。こうすることでイカがおそらく潜んでいるであろう深さ(棚とも呼びます)にジグを送るのです。

どのぐらいラインを送ってやるかはその時々で変わります。いろんな深さを試してみると良いです。

イカの誘い方(ジギング)

キャストしてジグが目的の深さに到達した後、ジグが桟橋の方に帰ってくるまでが実質的な「イカ釣り」です。(フィーバーの時は、ジグが最初に沈降している間にアタリが来る場合もあります)

ジグを生き物のように動かすことによって、イカのアタックを誘います。いわゆる「しゃくる」という動作、英語ではjigging という動き、で釣ります。腕と手首を使ってロッドを上げて、ジグを水中で一旦上に引っ張り上げ、次にロッドを下げてジグを沈ませる。その繰り返しがジギングです。

聞いた話では、この動作は「傷ついた小魚の動き」を模すためだそうです。ピッっと動いて、沈んでいく、そんな感じです。瀕死の小魚の最後の足掻きのような感じでしょうか。この動きはイカに限らず、サーモンなどを狙う時も同じです。

どのぐらいの強さでロッドを上げてしゃくるかは、人それぞれのようですが、状況に応じて強めにしたり弱めにすると良いでしょう。答えはひとつとは限らないのは他の釣りと同じです。印象としてはそれほど強くなくても良いと言う感じです。特にシーズン初期のイカは臆病のようで、あまりアグレッシブに動くものは、逆に自分を襲う魚だと誤認して、逃げていくのではないかと感じています。同じ理由でジグは小さめのものを使います。

しゃくっている時に、イカが引っかかることも稀にありますが、イカがアタックしてくるのは大抵「ジグが沈降している時」もしくは「水中で(あまり)動いていない時」のようです。つまり、他の魚のように「追いかけて捕食する」のではなく、油断している獲物を捕らえるという印象です。

ジグが沈んでいる最中はラインはなるべく「たるまないように」したいので、ロッドの先をゆっくりと下ろします。逆に良くない動きとしては、ロッドを大きく下げてラインのたるみを作ってしまうことです。これではイカの感触がラインを通して伝わりにくくなってしまいます。糸電話の原理と同じです。また、ラインに巻きぐせが付いている時は、弛んだラインがロッドの先に絡んだりしてトラブルになりやすいので、その意味でもあまりラインを弛ませない方がいいでしょう。

ラインのたるみを最小限にするために、ロッドの先を「ジグの自然な沈降速度」よりややゆっくり下ろして、ジグがゆっくり落ちて行くようにすることもあります。このようにして「弱った小魚」を演出します。

イカ釣りは、例えていうなら「道端で出会った子犬に近くまで来てもらう」感じで、なるべく怖がらせないようにする方が、アグレッシブに誘うよりも良いと感じます。

イカのアタリはどのような感触ですか?

イカのアタリはほとんどの場合「重みの変化」として感じられます。魚のように身体全体を使って泳がないのでビクビクという感触はありません。ただシーズンが進んでサイズが大きくなると、強烈なタックルのように「ガツン」と来ることもあります。

またロッドの種類によって感触が違うこともあるようです。30年のベテラン釣り師はフライフィッシング用の、竿先が特に柔らかいロッドを使ってイカを釣るそうです。その場合はイカの触手がジグに触る様子も感じ取れるそうです。どちらにしろ硬いロッドより柔らかい方がイカのアタリがわかりやすいということは間違いないでしょう。

イカのランディングの仕方

ランディング(landing)とは魚などがヒットして、人が完全に確保するまでの過程のことです。イカの場合、バケツ等の容器に入った時点でランディングは完了です。

イカのアタリがあったら、リールのハンドルを「休みを入れずに」巻きとり続けます。ラインにテンションが掛かって、ジグが真っ直ぐロッド先に向かって来ます。その時イカがジグの上に引っ掛かっている状態になります。巻き取りを途中で止めるとイカが泳いで逃げていく可能性があるので注意しましょう。

イカをバラすことは滅多にありません。慌てずに、一定のスピードで巻き取って、手元まで来たらバケツの上に持ってきて逆さかにするだけです。

イカの外し方

イカをジグから外すのはとても簡単です。ジグを持ってバケツ等の上で逆さにするだけです。イカの自重でバケツの中にストンっと落ちるという具合です。他の魚ではフックを外すのに苦労することがありますが、その点イカは簡単に済むのでストレスはありません。

ジグを2つ付けていて、両方にかかった場合は。下から外します。上のイカを外したら下のジグに引っかかることがあるからです。下を外したら、下のジグはバケツの外にだして、上を外します。ただ実際、この辺りは「適当でよい」のがイカ釣りの気軽さです。

イカ釣りトラブル対処方法

ジグが海底の何かに引っ掛かって取れない時

イカのジグはフックがたくさん付いているので、海底のゴミ、海藻、誰かの仕掛け、イカ以外の生き物など色々なものに引っ掛かります。

特に海底にある障害物に引っ掛かってしまった場合は、なかなか外れません。海藻などであれば、しばらく引っ張っているうちに海藻の方が切れて外れることがあります。

一番厄介なのが、他の人のラインや仕掛けです。ただ、運良く引き上げることができたら、ただで仕掛けが手に入るかも知れません。

少し引っ張って、外れる感じがしないなら、ラインを切る動作をします。ハサミでラインを切るのは最後の最後です。それだけ海中にゴミを出してしまうし、次からのその場所での根がかりの原因をふやくことになってしまうからです。まずは仕掛けのどこかで切れるようにします。

ロッドを曲げた状態で引っ張るとロッドの先を折ってしまうので、絶対にロッドを曲げてはいけません。引っ張って取れないのでもっと力いっぱい引っ張るためには、ロッド先から出たメインラインを自分の腕に絡ませて、引っ張り上げます。そうすると多少ラインが腕に食い込んでもいたくはありません。

準備編で、メインラインより弱いリーダーを使った理由は、根がかりが起こった時にリーダーが先に切れるようにするためです。例えば、リーダーとスイベルの結び目が切れてくれれば、海中に残るゴミはジグと、少しの長さのリーダーですみます(それでも、出来るだけゴミを海底に残さないようにしたいです。慣れてくればジグを失くす頻度も小さくなります。)

他の釣り人と仕掛けが絡んでしまった!

シーズンのピークになると、肩と肩が触れ合うぐらい混むことがあります。そうなるとどうしてもごお隣さんと「お祭り状態」になることがあります。ラインや仕掛けなどが絡んでしまったらケースバイケースで対処するしかありませんが、相手が解く作業を始めたら、なるべく近くに移動して、何か手助けをするのも良いでしょう(例えばライトで手元を照らすなど)。

自分で解く作業を始めて、どうしても解けそうにない場合は、どちらかの仕掛けをハサミで切ってしまうのも1つの手です。自分の仕掛けか相手の仕掛けか、どちらを切るかはケースバイケースですが、私は大抵の場合自分の方を切ってしまいます。簡単に結び治せるので、結果そちらの方が現場復帰は早かったりします。

ジグが隣にどんどん流されちゃう!

潮の流れが強くなると、ジグが真正面ではなく右か左に流されて行きます。周りの人も同じように流されるので、特に何か特別なことをする必要はありません。ただ、ジグが軽い時はすぐに遠くに流されてしまうし、深い場所を狙いにくくなります。少し重たいジグに交換すると良いでしょう。

周りはみんな釣れているのに自分だけ釣れない!

これは釣りの種類にかかわらず、誰でも経験したことがあることでしょう。イカ釣りでも、上手な人とそうでない人がいます。場合によっては自分の両隣の人が爆釣しているのに、自分だけはさっぱり釣れないと言うこともあります。

1番手っ取り早い改善策は、釣れている人にコツを教わることです。タイミングを見計らって、なぜ釣れるのか聞いてみるといいでしょう。大抵の場合親切にやり方を教えてくれます。

次にできる事は、上手な人の動きをそのままコピーすることです。どのぐらいの深さジグを送るか、しゃくり方とそのスピード、そういったことを観察して全く同じようにやれば釣れるようになることもあります。

全く同じようにやってるはずなのに釣れない時もあります。この場合の答えは私は知りません。ここがイカ釣りの難しさでもあり面白さでもあると感じます。

釣れない時に私が心がけている事のひとつが、ゆっくり丁寧に優しくやる、ということです。上述したようにイカはどうやら臆病な生き物のようです。ジグの存在には気づいているけれど、アタックするの躊躇しているのかもしれません。

イカの下処理

イカを家に持ち帰ったら、いくつかの選択肢があります。私の場合、数が少なかったり、多くても両日中に食べるのであれば、その日のうちにきれいに下処理します。

また、シアトルのイカは割と小さいので調理の仕方次第では下処理をしなくても済みます。シーズン初め頃の小さいイカは「そのまま丸ごと調理」しても問題なく食べられます。

下処理の具体的な方法の解説は長くなるのでここでは割愛しますが、YouTube などで簡単にやり方が見つかります。

シアトルのイカは小さめなので、ハサミを使うと便利です。

イカを長期保存する

数が多い場合は、すぐに食べる量以外はそのまま冷凍してしまいます。冷凍する場合、以前はきれいに下処理してから冷凍していたのですが、経験の長い人に「一切洗わずジップロックのようなビニールバックに入れてそのまま凍らせる」と聞きました。その場合真水などで洗わず、イカの墨で真っ黒だったとしても「そのまま」凍らせます。解凍後の下処理すれば、生の状態は全く変わりません。

イカの刺身

シアトルのイカは刺身として食べると本当においしいです。私個人はシーズン初期の小さめのイカイカそうめんにして食べるのが大好きです。

下処理の時に薄い皮も含めてきれいに取って、ゲソと一緒に食べます。

アニサキス対策

イカを生で食べるとなるとアニサキスが心配です。まず、冷凍保存したものは、アニサキスがいたとしても冷凍することで死滅するので安心です (冷凍する時間は冷凍庫の性能などによるので一概には言えませんが、家庭用の冷凍庫で丸二日間も冷凍すれば問題ないでしょう)
そもそもシアトルで取れるイカにはアニサキスはいないという指摘もあります。私個人はシアトルでとれたイカアニサキスがいたのを見た事は1度もありません。私の釣り仲間でアニサキスを見た人も、今のところまだいません。だからといって、シアトルで捕れるイカアニサキスはいないと言う証拠にはなりません。この点に関しては自己責任で判断するしかありません。

自己責任でリスクを負うという前提で、いくつか確認する方法があります。まずは刺身にする前のイカを室内灯に透かすように照らして確認する。もう一つはUVライトをイカの上から照らして確認する。さらにイカを細く切って、もしアニサキスがいたとしても物理的に殺してしまう方法。

いずれもリスクが伴いますのでご注意を。

イカを干す

下処理をしたイカは干すだけでさらに長期保存できるようになります。詳しいやり方は長くなるので割愛します。

ちなみに、干し網はシアトル近郊のダイソーで購入できます。私はそれにイカを入れて、日陰で干したりします。

イカの燻製

干して表面を乾燥させたイカは燻製にすることもできます。ここでも具体的な方法は割愛しますが、イカは小さいので大掛かりな燻製用の道具を使わなくても済むのが嬉しいです。

イカを他の魚釣りの餌にする

イカは他の魚釣りの餌にも使えます。例えば釣り桟橋やビーチなどでヒラメ、カレイやサーフパーチを釣るときに、イカの切り身を塩漬けにしてしめて、フックにつけるだけでかなり効果的な餌になります。カレイなどはイカ3匹分もあれば一回の釣りに充分すぎるほどの餌になります。

私はまだ試した事はありませんがサーモンを釣る時の餌にもなるそうです。

まとめ

以上で、イカ釣り初心者向けの情報をほとんど網羅できたと思います。イカが釣れる場所に関しては、まだ私も行ったことがないスポットがたくさんあるので、色々調査してみてください。