このガイドブックの目的
このガイドブックはシアトル近郊で「これからイカ釣りを始めよう」と思っている人のために、最低限必要な情報をまとめた初心者向けガイドブックです。
また、イカ釣りだけでなく釣りそのものが初めてだったり、最後に釣りをしたのがずっと前だったという人のために、釣りの初歩的知識やハウツーも紹介しています。
内容は3つのパートに分けて紹介しています
パート1 準備編
なお、商品の紹介もしていますがアフィリエイトリンクではありませんし、あくまでも参考のために上げています。
ここにある情報だけで「イカを家に持ち帰って、美味しくいただくことができる」を目指しています。
イカ釣りには何が必要ですか?
シアトルではいろいろな種類の釣りが楽しめますが、その中でもイカ釣りは「簡単な道具だけで誰でも気軽に楽しめる釣り」のひとつです。必要なものを全部揃えたとしても、クローゼットの隅にしまっておくことが出来るぐらいの道具の数ですし、費用も$150ドルもあれば必要なものをゼロから全て揃えることができるでしょう。
どこで道具を買えますか?
釣り道具を何ひとつ持っていないとしても大丈夫です。イカ釣りに必要な道具は、シアトル近郊にある釣具屋さんや、BIG5やDick's などのスポーツ用品店、さらにはウォルマートやフレッドマイヤーなどのスーパーの釣道具セクションで買い揃えることができます。
釣具屋さんをいくつか例に挙げると・・・
Cabela's (シアトル・アウトレット・モールのすぐ近く)
Outdoor Emporium(マリナーズの球場のすぐ近く)
Sportsman's Warehouse (シアトル北、エベレットよりやや南)
3 Rivers Marine (シアトル郊外、Bothell/Woodinville 周辺。上の3軒よりは小さい)
などがありますが、アマゾンなどでオンラインで購入することもできますが、長い間使うことになるかもしれないので、できれば店頭で手に取って確認した方が、後々買い直しをせずに済むでしょう。
ライセンスは必要ですか?
イカを釣るにはライセンスを購入し、釣りに携帯しなくてはなりません。ワシントン州の釣りライセンスは毎年4月にスタートして、次の年の3月の終わりまで有効です(残念ながら例えば10月に買ったとしても、翌年の3月末で有効期限は切れてしまいます)。
ライセンスにはいくつかの種類がありますが、イカを釣るためには「Shellfish/Seaweed licenses」と言う種類のものが必要です。
ライセンス料は年間で$15ドル程度です。
この Shellfish/Seaweed licenses を個別に買う代わりに、別の魚釣り(例えば淡水でのニジマス釣りや、海でのカレイ釣り)なども出来るコンボライセンスを買えば、それにも含まれてきます。もしイカ以外の釣りもする予定なら、コンボライセンスの方が割安になります。
いずれにせよ、Shellfish/Seaweed というカテゴリをカバーするライセンスを取得・携帯しなくてはなりません。
購入はオンラインでも出来ますが、その場合はライセンスが郵送されるまで数日待たなくてはなりません。もし仮に「友達に誘われて明日イカ釣りに行くので今日中にライセンスをゲットしなくてはならない」っといった事態になった場合は、指定のライセンスのディーラー店頭で直接購入すると良いでしょう。そうすればライセンスはすぐに手に入ります。シアトル近郊のほとんどのウォルマートやフレッドマイヤーがライセンスのディーラーです。ディーラーのリストはここで検索することができます。仮にKing群のBIG5というお店を探す場合。
道具をそろえる
このセクションではイカ釣りに使う道具について説明します。
ロッド(竿)とリール
イカ釣りは他の多くの釣りと同様に、リールに糸を巻いてロッドで仕掛けを投げて釣りをします。
どのようなロッドを使いますか?
ロッドと一口に言ってもいろいろな大きさと種類があります。シアトルで取れるイカは大きくてもせいぜい20センチ位なので、小振りの短いロッドでも問題ありませんが、やや長めの7フィート級から8フィート級が最初に買うロッドとしては無難でしょう。
すでに他の魚を釣るためのロッドを持っているのであれば、とりあえずそれを使ってみるのも良いでしょう。
ロッドはリールの種類に合わせてグリップの形、糸が通るガイドの形、持ち方などが異なります。イカ釣りには最も一般的な「スピニングリール」を使うので、ロッドもリールに合わせて「スピニングリール用」を買います。
幸い、スピニングリールは最も一般的なリールなので、釣具屋さんの店頭に並んでいるリールの大半はそのタイプです。(スピニングリール以外では、バス釣りなどでよく使われるベイトキャスターリール、フライフィッシングでよく使われるセンターピンなどがあります。)
例えば下のようなロッド。7フィートで、手元のグリップが軽いので疲れにくいでしょう。ただ、パワー(竿全体のしなり)がMedium Lightなので、やや硬めかもしれません。
どのようなリールを使いますか?
リールは上述のように「スピニングリール」という種類のものを使います。
スピニングリールにも、大小様々なサイズがありますが、イカ釣りには1番小さいサイズでも問題ありません。ただイカ釣りは「巻き取りの動作」を繰り返すので、ある程度の大きさがあった方が疲れにくかもしれません。また手の大きい人はハンドルが大きめの方が効率が良いでしょう。お店で実際に手に取って確かめることをお勧めします。
リールの重さに関しては、イカ釣りは腕と手首を使うのでリールは軽ければ軽い方が良いです。ただし一般的に軽いリールは高価なリールであることが多いです。
リールには海釣り対応(ソルト対応)のものもあります。ソルト対応とは、塩水で腐食してしまわないよう対策が施されていることを指します。イカ釣りは海でやる釣りなので出来ればソルト対応の方がいいですが、そうでなかったとしても釣りが終わったらリールを水で洗えば問題はありません(ただ、水洗いせずに長い間放置しておくと、中に塩が残っている場合は故障の原因になります)
例えばこのようなリールがいいかもしれません:
ロッドとリールのセットを買う
「ロッドとリールの組み合わせ」がよくわからないと言う人は「ロッドとリールがセット」になっているものを買うのが簡単です。その場合は糸もあらかじめ巻いてある場合が多いですが、糸だけは新品を買って巻き直すことをお勧めします。何故かと言うと、もともと巻いてある糸はたいていは安物で、巻きグセがついていて扱いにくく、場合によっては直射日光や紫外線にさらされて糸が痛んでいる場合が多いからです。
例えば:
ライン(糸)
ロッドとリールが手に入ったら、次に用意すべきはラインです。イカ釣りに適したラインを見ていきましょう。
釣りの基礎: メインラインとリーダー
イカ釣りに限らず、魚釣りには主に2つの異なる役割を持つラインを使います。ひとつは「メインライン」といって、リールに巻く糸の大部分を占める、まさにメインとなる糸です。もう一つは「リーダー」といって、メインラインの端と、釣り針(フック)やルアーなどの仕掛けを繋ぐのに使います。イカ釣りでは両方使うことをお勧めしますが、メインラインだけでも可能です(なぜ両方使うと良いかは「パート3実践編」で解説します)。
どんなメインラインを使いますか?
一般的にメインラインは丈夫で長持ちする糸を使います。何度もリールに巻取られ、キャストの度にリールから勢いよく出て行くので、耐久性が高い方が良いですがそれでもいつかは寿命が来ます。
メインラインにも様々な種類や太さがありますが、イカ釣りには最も一般的なモノフィラメント(ナイロン)と言う材質の、透明な糸を使います。
釣りの基礎: モノフィラメントとは別にbraided line - 日本ではPEラインと呼ばれる - 「丈夫な細い糸で編んだ釣り糸」もあります。私も以前はイカ釣りに使っていましたが、アタリが分かりやすいという利点がありましたが、利点以上にトラブルの原因になりやすいので使うのをやめたところです。丈夫なのでサーモンなどの大物に適しています。また気分でイカ釣りに使うかもしれません。
メインラインの太さは、直径ではなく10パウンドテスト(10 lb test)や、30パウンドテスト(30 lb test)といった「どのぐらいの重さの耐久テストに合格したラインなのか」という基準で表します。目安としては、10lb test ならニジマスを釣るには十分のに強さですが、サーモンを釣るには心もとないです。キングサーモンなどの大物を釣るには最低でも30 lb testぐらいは必要になります。
イカ釣りには、メインラインは10lb test 程度で充分ですが、いろいろな理由(以下で説明します)で私は20 lb test を使っています。10~20の間ならどれでも良いと思います。
例えば:
メインラインを購入するときの長さですが、メインラインはリールに巻取るので最低でも100 feet ぐらいのスプールに巻いてあるものを釣具屋で買うのが良いでしょう。
メインラインの寿命は状況によりけりですが、シーズンの初めに新しいのに巻き変えるぐらいでちょうどいいでしょう。
どんなリーダーを使いますか?
リーダーは魚やイカなど「ターゲットにより近い部分で使う糸」なので、メインラインより少し気をつかいます。といってもイカはリーダーの種類にはあまり敏感ではないので、メインラインと同じ素材の、割と安価なモノフィラメントで充分です。ただ、私は個人的にフロロカーボンが好きなのでそちらを使います。
釣りの基礎: モノフィラメントや前出のBraided line (PEライン)とは別に「フロロカーボン」と呼ばれる割高な糸があります。フロロカーボンは水中で糸が見えにくいという性質があるので、ラインを怖がる種類の魚、例えばニジマス、などを釣る際に効果があります)。また、モノフィラメントより硬いので、アタリが多少分かりやすくなります。
リーダーの太さ(強さ)はメインラインよりも細い(弱い)ものを使います。例えばメインラインが15 lb test ならリーダーは8 lb test。メインラインが10 lb test ならリーダーは6 lb test といった具合です。なぜこのようなバランスにするかは、後述するトラブル解決法のセクションを読んでください。
例えばこの8lb testのフロロカーボンなどはちょうど良いかもしれません:
どのようなルアーを使いますか?
シアトルでのイカ釣りには「イカ釣り専用のジグ」をルアーとして使います。エサ釣りをしている人は見たことがありません(出来なくは無いでしょうが)。
イカ釣りに使う道具は、他の一般的な魚釣りの道具とほぼ同じですが、イカを捕らえるフック(ハリ)が付いているルアーだけはイカ専用のものを使うこに注意しましょう。
このタイプのイカ専用ルアーを日本では「スッテ」と呼ぶそうです。形はお互いよく似ていて、通常の釣り針とは異なる、たくさんの針がついたものです。イカはこのジグの針に引っかかる感じで釣り上げます。
ところで日本では「スッテ」の他に「エギ」というタイプのルアーもよく使われるそうです。シアトルでも、もしかしたらエギでイカを釣ることが出来るかもしれません。ですが、現地でエギを使っている人はほとんど見かけません。
とりあえず始めてみたいという人には、シアトル近郊の釣具屋さんで買えるイカ釣り用ジグを使うのが無難でしょう。(もちろん慣れてきたら、いろんな種類のジグを使ったり、ジグを自作したりすることもできます)。
オモリ有りジグとオモリ無しジグ
イカ釣り用のジグには大きく分けて「オモリ有り weighted」と「オモリ無し non-weighted」があります。使い方は詳しく後述しますが、とりあえず初めてイカ釣りに行くのであればオモリ有りのジグを5個ぐらい用意しておくと良いでしょう。オモリ有りのジグは、文字通り、手に持ったら重みを感じるタイプです。オモリ無しは、せいぜいハリの部分とプラスチックの本体を合わせた程度の重みしかありません。
ジグには形や色や模様などで多くのバラエティーがあります。どれを選ぶかは好みの問題で、要するにイカにとって魚か何かの生き物のように見えれば良いというだけです。
イカはほとんど紫に近い色しか見えていないと言う研究もあるので自分の好きな、釣れそうな予感がするジグを選びましょう。どれが釣れるかなぁって想像しながら買い物するのも釣りの楽しみのひとつです。
ジグのサイズに関しては「やや小さめ」の方が釣れるようです。特にシーズン初期の小さなイカは、大きなジグは怖いのか、あまりヒットしないようです。人間の感覚では大きなルアー(=大きなご馳走)なので、その方が魅力があるように感じるかもしれませんが、イカは小さくて弱い獲物が好きなように感じます。
大中小と、いくつかのサイズを揃えておくのも良いでしょうが、小さいのは必ずひとつは持っておくことをおすすめします。
スナップ付きスイベル(もしくはスイベルのみ)
「スイベル」はヨリモドシとも呼ばれて、自由に回転する、糸と糸を繋ぐための部品です。
「スナップ」とは糸やルアーを自由に付け外しができるのよう工夫してある、部品です。
スイベルとスナップを合わせたものが「スナップ付きスイベル」と呼ばれ、両方の機能をひとつで満たすので、とても便利です。これはどの釣具屋さんでも絶対に売っているので適当に小さめのを見繕って買ってくればいいです。
スイベル(Swevel)
スナップ付きスイベル(Swevel with snap)
スイベルもしくはスナップ付きスイベルは「メインライン」と「リーダー」を接続するのに使います。そうすることで、ジグの回転の動きのせいで、ラインがねじれてしますのを防ぎます。さらに、強さの異なるメインラインとリーダーを結ぶことで根がかりなどのトラブル対策にもなります。
スナップ付きスイベルは、スイベル側をメインラインに直接結びつけ、もう片方のスナップ側には、輪っかを作ったリーダーを取り付けます。リーダーを結びつけるないので、リーダーと仕掛けを簡単に変えることが出来、とても便利です。
容器(バケツ)
イカ釣りに来た人は、そのほとんどがバケツを持参します。釣れたイカはそのバケツに放り込んでいきます。イカは墨を履くので、汚れてもいいバケツを使いましょう。大きさは、小さめのもので充分です。ルールとして、イカは1日あたり、ひとりで最大10 lbまで持ち帰ることが出来ます。
大量にではなくほんの数匹持って帰りたいのであれば、タッパーウェアなどのプラスティック容器、もしくはZipLocなどのプラスチックバッグでも充分です。ただ、バケツがあると釣れたイカを素早く取り外せるので効率が上がります。出来れはバケツを持って行きましょう。
あるいは、釣れたイカは全て沖漬けにするという作戦なら、タッパーウェアにタレを入れていくと良いでしょう。
網かご(有れば少し便利)
これはバケツと組み合わせて使うもので、あればあったで便利です。私はまだ使った事はありませんが、イカ釣りの常連さん達はバケツの中に網を入れ、その上からイカを投入しています。こうすることでイカが吐いた墨が網からバケツの方に落ちて、イカが墨だらけにならないと言う利点があります。
Corky (目印のウキとして)
これもあってもなくてもイカにとってはあまり関係ないもので、人間用の目印として使います。サーモンなどを釣るための仕掛けの部品としてcorky と言うものが売っていますが、それを流用して、海面に浮かぶようにします。そうすることで自分の糸とジグがどこ辺りにあるかがよくわかるようになります。
特にラインが細い、色がついていない、自分の目が悪い、辺りが暗い、といった状況下では良い目印になるでしょう。
ですが実際のところ自分の糸の目標という目的に加えて、周りの釣り人の仕掛けとの距離、平たく言えば縄張りをはっきりさせるために使っているように思えます。私は去年までは使っていましたが、最近は緑色のラインを使うので必要無くなったので付けていません。絶対に必要なものではありません。
大きめのビニール袋
イカを家に持ち帰るのに、バケツだけだと不安定で心配です。イカでいっぱいのバケツが車の中で倒れたら、かなりショックなことになります。私は念のため、バケツをビニール袋に入れておきます。
もしクーラーボックスなど、もっと安定した容器を持っているなら、それを使うのも良いでしょう。ただ、イカは墨で汚れやすいので、簡単に捨てられるビニール袋などは便利です。
ちなみにクーラーボックスに氷を入れる必要はあ無いと思います。家が遠いのであれば氷はあった方が良いですが、1時間以内で帰れる範囲であれば(気温にもよりますが)氷は必要ないでしょう。さらに、イカ釣りのシーズンは割と寒い時期なのでイカが悪くなってしまうことはないでしょう。
LEDヘッドライト
釣り場には街灯があるところもあれば真っ暗なところもあります。釣れたイカをバケツに入れる動作も、明るい方がやりやすいです。また絡まった糸などを直すのにも、ライトが必要になります。頭に装着できるLEDライトが便利です。
ハサミ
ラインや仕掛けが絡んだりするトラブルに対処するために、ラインを切らなくてはいけない場合があります。イカ釣りに限らず、ハサミは必ずと言っていいほど必要になります。小さくても良いので1つ準備しておきましょう。
どんな服装で行けば良いですか?
冬のイカ釣りは寒いです。本格的に寒くなる前の9月10月でもイカが釣れる夜は寒くなります。釣り桟橋の上は吹きさらしなので、例えば歩道橋の上で何時間も立っているのと同じです。風はもちろん、たまに小雨が降ることがあるかもしれません。
1番いいのはスキーやスノーボードのウェアかもしれません。そういったウェアを持っていないとしても、そのぐらいの厚手のパンツとジャケットが必要だということが想像できるでしょう。
イカはを墨を吐くので汚れる可能性はありますが、思ったよりは汚れないと思います。それでも念のため、汚したくない服は着てこない方がいいです。
手袋は好みの問題です。イカ釣りは仕掛けを投げるキャスティング動作をするので、手袋をつけた状態だとやりにくいかもしれません。指だけが出ているタイプの手袋は便利かもしれません。
「パート2 計画編」に続く