ChatGPTで始まる全く新しい学習体験 ~ パーソナライズされた学びの体験
パーソナライズされた学習体験
ChatGPTやBingを始めとするAI技術は、新しい学び方を産むと思うようになりました。
これまでの学び方は、学びたいと思っている目的のトピックについて、書籍等を選んで読む、対面やオンラインで学習プログラムの授業を受ける、詳しい人に教えてもらう、直接プロから個人レッスンを受ける、また最近ではYouTubeから学ぶ、など様々なものがあります。
それら既存の学び方に共通する点としては、学びが「パーソナライズされていない」ということが挙げられます。
書籍等の場合、内容や順番が自分にピッタリという本に出合うことはまぐれでも起きない限りあり得ません。同様に学校の授業なども(使いまわしの?)テンプレートに沿って学習が進むので、もちろん長年の蓄積により、効率よく学べるように工夫されているとしても、全ての個々人に対して、理解度や学習の進み具合と照らし合わせて最適化されているかというと、難しいところでしょう。プロから習う個人レッスンは最もパーソナライズされていると言えますが、1対1での学びのフォーマットはスケーラブルでないし、なにより高額な費用がかかるという弱点があります。
逆に「パーソナライズされている」学習体験は、学習者の理解度や進み具合、学ぶ動機や目的、深い学びか広い学びか、などに対応して最適化されており、効率が良くノイズが少なく摩擦が少ない状態で学習が進んでいきます。そしてChatGPTなどのチャットボットはまさにこのような学びを提供することが出来ると思うのです。
このことに気づくきっかけは残念なことに、娘の同学年の友達の突然の死でした。ほんの数日前、同級生が anurysmという病気で亡くなったという娘のインスタのポストを見たのです。娘もとても残念そうで、それに対するケアを行うことが第一です。
それと同時に若い命を奪った anurysm という病気に関する知識欲というか、知りたいという動機が私の中に生まれました。きっかけとしては悲しいです。でも、これは人が何かを知りたい・学びたいと思うようになるきっかけの例のひとつです。(そういえば母が胃がんになったとき、まるで受験勉強をしていたころの自分のように本を読みまくってあっという間にノートが埋まっていったのを覚えています。)
パーソナライズされた会話
この出来事が出発点となり、最近は検索ではなくチャットボットをリサーチの始点にしているのでさっそっくChatGPTで会話を開始します。
まずは英語の anurysm が日本語で何かを聞きます。
英訳和訳や単語調べはもちろん検索でも出来ることですが、ひとつの会話でスタートすることがノイズを抑え、学習に集中できるようになります。
その英単語が「動脈瘤」と呼ばれることと、そのだいたいの意味が分かったので、次に私が個人的に知りたいと思ったのは10代という若い年齢でもこれが起こるのかどうか、です。なんとなくこういった病気は年齢が高い人にしか起こらない、という風に感じていたのでそこを知りたいと思ったわけです。
10代では稀であるとうことが分かったので自分の感じていたことと同じことが確認されました。こういう情報も検索で行うことは出来ますが、複数のウェブサイトの記事を読んだりその信ぴょう性や権威を推し量ったりという作業が学習効率を落としてしまいます。
さて、次に知りたいと感じたのが男女差です。病気によっては男女差が出るものがあることは知っていたので動脈瘤についてはどうかが知りたいと思ったわけです。自分の娘の女友達の病気ですから自分にとっての関心として男女差について知りたいとも思ったわけです。
ある程度、男女の違いがあること、また10代ではやはり稀であることを理解できました。学びのプロセスとしては、ここで一旦「娘のともだちのケース」に関しては、非常に稀で、もしかしたら遺伝や、それ以外のかなり特殊な条件だったのであろうという仮説が立ちました。
次に自分も含めて、動脈瘤が起こったときに出来るだけすぐにそれと気づくため、そして出来るだけ迅速にアクションを取れるように、その症状について詳しく知りたいと思いました。特に自分と妻、さらには周りの友達も動脈瘤がより現実的な年齢です。
だいたいは想像していたものでしたが、音や光に敏感になる、などは考えても観なかったです。自分または身近な人が、やたら「まぶしい」という時は、もしかしたらという発想を持つべきだなと感じました。もちろん、これがどのぐらい正しいのかの検証も必要なので、すべて鵜呑みにしないよう注意する必要がありますが、これはチャットボットだけでなくネット上の全ての情報について言える、いわばネットリテラシーの基礎ですから言うまでもないです。
次の、先に出ていた「くも膜下出血」という言葉が気になっていたのでさらに聞いてみました。この言葉はニュース等でよく耳にするのでその存在は知っていましたが、詳しく調べるきっかけが無かったので、これを機会にさわりでけでも理解したいと思ったわけです。ここで当初の学習目的からずれていきます。これの良し悪しは別として、自分の興味と「知りたい」という欲求に従って学びを進めていくのはごく自然でしょう。ほとんどの子どもたちはこの戦略で、時には親やおとなを質問責めで悩ませつつ、学習していっているわけですから
くも膜下出血の「くも」の部分が「蜘蛛」を指すとしり驚きました。しかしそれが指す組織の様子をこれ以上分かりやすく表す表現は無いと感心しました。ほんの少しの豆知識を得ました。
ここで、疑問に感じたのは、くも膜下出血の「下」の部分。脳が膜につつまれていて、その膜の下で出血するとしたら、脳内出血(この言葉もその現象もあるということは知っていた)との関係をはっきりさせたいと感じました。
とうことで、くも膜下出血と脳内出血についてきちんと理解できました
まとめ
このような学びの体験は、ほとんどの人にとって、今まで生きてきて一度も味わったことのないものだと思います。それこそ王室か何かで、ありとあらゆる学問に精通した博学のチューターが傍にいつもいない限りは無理です。
検索を含む既存の学習方法を置き換えるものではなく、それを補完する、いやもしかしたら主従は逆でチャットボットを学びのメインに置いて、それを補完するために既存の学習方法を使う、という時代になるやもしれないと感じました。
学びのトピックは自分の知りたいという動機と、その内容も順番もぴったり「自分用にパーソナライズ」されています。やや脱線してしまう可能性がある、という点はもしかしたら弱点なのかもしれませんが、フォーマルではない純粋な「興味や好奇心」を動力にした学びの体験としては、全く新しい学習体験をChatGPTを始めとするチャットボットが提供する時代に突入したと言えると思ったわけです。